発信者情報開示請求をやった結果が来た

メモ

ニコニコへの発信者情報開示請求、開示認められず。

これの対する通知書は電子メールによりPDFで送られてきた。以下はその通知書の写し。


2023 年4月20日

ぐれ 殿

【開示関係役務提供者の名称】
住所 東京都中央区銀座四丁目 12 番 15 号
社名 株式会社ドワンゴ
連絡先 smilevideo-support@dwango.co.jp

通 知 書

貴殿から下記情報の発信者情報の開示について請求がありましたが、下記の理由で、開示に応じることは致しかねますので、その旨ご通知申し上げます。

[理由](いずれかに○)

1.貴殿よりご連絡のあった情報を特定することができませんでした。

2.貴殿よりご連絡のあった発信者情報を保有しておりません。

③.貴殿よりご連絡のあった情報の流通により、権利が侵害されたことが明らか」(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(プロバイダ責任制限法)第5条第1項第1号であると判断できません。

4.貴殿が挙げられた、発信者情報の開示を受けるべき理由が、「開示を受けるべき正当な理由」(同項第2号)に当たると判断できません。

5.貴殿が挙げられた、補充的な要件を満たす理由が、プロバイダ責任制限法第5条第1項第3号の要件に当たると判断できません。

6.貴殿から頂いた発信者情報開示請求書には、以下のような形式的な不備があります。 不備内容:

7.その他( )

以上

発信者情報開示請求に対する通知書

今回初めて開示請求を請求した。ニコ生の同一配信内の荒らしの「はげ」コメント6件ほどを取り上げて「名誉権の侵害」「刑法の侮辱罪に相当する書き込みのため」として請求していた。

以下は、上記と対となる「プロバイダ責任制限法」の条文。


(発信者情報の開示請求)

第五条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対し、当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報のうち、特定発信者情報(発信者情報であって専ら侵害関連通信に係るものとして総務省令で定めるものをいう。以下この項及び第十五条第二項において同じ。)以外の発信者情報については第一号及び第二号のいずれにも該当するとき、特定発信者情報については次の各号のいずれにも該当するときは、それぞれその開示を請求することができる。

 当該開示の請求に係る侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。

 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他当該発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。

 次のイからハまでのいずれかに該当するとき。

 当該特定電気通信役務提供者が当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報を保有していないと認めるとき。

 当該特定電気通信役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る特定発信者情報以外の発信者情報が次に掲げる発信者情報以外の発信者情報であって総務省令で定めるもののみであると認めるとき。

(1) 当該開示の請求に係る侵害情報の発信者の氏名及び住所

(2) 当該権利の侵害に係る他の開示関係役務提供者を特定するために用いることができる発信者情報

 当該開示の請求をする者がこの項の規定により開示を受けた発信者情報(特定発信者情報を除く。)によっては当該開示の請求に係る侵害情報の発信者を特定することができないと認めるとき。

特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律E-GOV


今回の件では、上記でハイライトした部分(第5条1項1号)が相当でないとされた(通知書の③)。

想像できるその理由としては、

ニコ生的には「はげ」は名誉権の侵害には当たらない。

か、

請求書類に記載した「侵害された権利」「侵害されたとする理由」が法律的に不適当な物であった。

かのどちらかだろうか。

実際「侵害された権利」にしろ「侵害されたとする理由」にしろ、最低限の法律知識を持って書かなければならないと痛感した。

請求書を送付後、「侵害された権利」の記述は、その要件を満たすのは、法律・判例で認められた「○○権」であるから、それについて具体的に記述するようニコニコ側から修正要請が来た。

「○○権」と明確にするからには、「侵害されたとする理由」においても間違いなくそれを立証できる内容が求められるであろう事も明らかだからだ。

もしくは、一般的な肌感覚としての決定とも考えられる。実際、この程度のことで開示請求が認められていたら何も書き込めなくなるのも間違いないし、恣意的な利用が非常に容易な制度となってしまう。

つまり、弁護士さんや警察の持つ肌感覚と同様で、「相場」という物が存在するのかもしれない。

以前弁護士さんと面談した中でいただいた意見として、「コメントは、殺すとかでないと証拠が弱い」とか「継続的になされている旨残すこと」があったので。

今回、開示請求から通知書が送られてくるまでは、約50日間かかった。

弁護士さんや警察に意見を求めるなら即日その場だが、開示請求の場合には答え合わせに約50日の日数がかかるとなると、また、開示請求という特殊事情もあり、実際どんな不備があったのかどうかを試すことは容易でない。

結局は、民事・刑事・開示請求にも失敗し、三振状態だが、この経験は無駄にはしない。

法律に基づいた手続を求める以上、法律の知識が最低限必要であること、当初30日と言われていた手続だが、実際には50日(今回は?)ほどかかること。手続の進行に対しては、問い合わせることは出来るが、先方からは特別通知のないこと。

いわゆる「発信者の意見書」の内容は申請者へは送付されないこと。

開示されても次はアクセスプロバイダ(ISP、携帯キャリアなど)とのやりとり(ニコニコなどはコンテンツプロバイダという)が控えていること。

請求の手続は簡単だが、万全の状態で臨まなくてはいけないことなど。

現状、「ポストへ猫を入れる」というイタズラ書き込みを要因として、「侵害された権利:平穏生活権」「侵害されたとする理由:ポストへイタズラするという予告により平穏生活権が侵害された」という内容でもう一件進行中であるが、「侵害された権利」「侵害されたとする理由」に具体性がなく、おそらく却下されるだろう。

個人で発信者情報開示請求というやり方がありながら、専門家たる弁護士に依頼する方法が同時に存在する理由というのも納得がいった。

とにかく、もし次回があるならだが、最低限法律の知識を持って武装して請求しなければならないと痛感させられた。

もちろん、次がないに越したことはない。

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